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よくある質問

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隣地から越境した枝は切ってよい?
2023-02-06
カテゴリ:Q&A
Q 
 空家になっている隣家の雑木が生茂って,境界線を越えて私の家の敷地上の電線にもたれかかっています。
隣家の所有者には,雑木の越境部分を伐採するよう要求しているのですが,なかなか対応してくれません。
そうしているうちに電線は,もたれかかった雑木の枝の重みで大きくたわんでいます。このまま放置すると電線が切れるなどの危険があるので,私の方で伐採しようと思うのですが,それは違法ではないでしょうか。
 
A            
1 現行民法の規定
現行民法233条1項によれば,隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは,その竹木の所有者に,その枝を切除させることができるとされています。
また,同条2項によれば,隣地の竹木の根が境界線を越えるときは,その根を切取ることができるとされています。
つまり,隣地から越境してきた根っこは切ることができるが,枝は勝手に切ることができず,隣地所有者に切除を請求することができるにすぎないことになります。このように枝と根っこで異なる規定がなされている理由については,枝の伐採には隣地への立入りを必要とすることが多いのに対し,根っこの切除は隣地への立入りを必要としないためなどと説明されています。
2 改正民法の規定
 令和5年4月1日から施行される新民法では,原則として越境した枝を勝手に伐採することはできないとしつつ,次の3つの場合には,越境した枝を伐採することができることになりました(民法新233条3項)。
① 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず,竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき
② 竹木の所有者が誰であるかが不明であるか,または,誰であるかはわかっていてもその所在が不明であるとき
③ 緊急の事情があるとき
3 ご質問のケース
  ご質問のケースでは,まず,上記①の竹木の所有者に枝を切除するように催告したにもかかわらず,竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときに該当すると思います。
  また,隣地からの雑木の枝が敷地内の電線にもたれかかって,断線やショートの危険性がある場合には上記③にも該当すると思います。
  以上の次第ですので,ご質問のケースでは,隣地から越境してきている雑木の枝を伐採しても違法でないと考えられます。



神戸湊川法律事務所 代表弁護士 藤掛 伸之 fujikake@lawyers.jp
神戸湊川法律事務所
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