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ネット上の誹謗中傷に対する反撃
2023-09-05
カテゴリ:Q&A

 

Q インターネット上の某匿名掲示板に、私に対する誹謗中傷的な書き込みがされています。この書き込みをした投稿者に対して何かできることはないのでしょうか。

 

 

A 

近年、ネット上の匿名での誹謗中傷的発信による被害は社会問題となっており、実際、X(旧twitter)や5ちゃんねるなどのSNS、掲示板上において、特定の誰かに対する誹謗中傷的な投稿を見かけることは決して珍しくありません。

 

このような誹謗中傷に対しては、その投稿者に対して、民事上の損害賠償責任の追及や名誉毀損罪等の罪名での刑事告訴などをすることが考えられます。

 

ただし、これらの法的な対処を行うに当たっては、その相手方である投稿者が誰なのかが明らかになっている必要がありますが、このような誹謗中傷的な投稿は匿名で行われることも多いため、まずはこの投稿者を特定するという作業で最初のハードルを迎えることになります。

 

このような誹謗中傷的な投稿を行った投稿者の情報(氏名、住所、電話番号、IPアドレスなど)については、その投稿のサーバの管理者に対して任意の開示を求めることができますが、開示に応じてもらえないことがほとんどであり、効果は期待できません。

 

そこで、通常用いられるのが、プロバイダ責任制限法という法律に規定されている発信者情報開示制度です。

 

これは一定の要件を満たすインターネット上の投稿について、裁判所がその投稿のサーバの管理者に対して、その投稿者の情報を開示することを命じる制度であり、裁判上の手続になります。

この命令によって開示された情報から投稿者を特定していくことになります。

 

しかし、この発信者情報開示制度を利用するに当たっては次のようないくつかの注意点があります。

  

① 誹謗中傷が自分に対するものであること

   発信者情報開示制度の利用に当たっては、その投稿について自分の権利侵害が発生していることを説明しなければなりませんが、まず、その投稿が自分に対して向けられたものであることが説明できなければなりません。

   

   その投稿に自分の実名が記載されている場合には説明は難しくありませんが、その投稿だけでは誰に対して向けられたものであるかが明らかでない場合、その前後の流れ等から示すなどして、自分に向けられたものであることを説明する必要があります。

   この場合には、その投稿だけではなく、その前後の投稿もスクリーンショットするなどして証拠化する必要があるでしょう。

 

② 誹謗中傷が事実に関するものであるか

   あらゆるネット上の悪口・中傷がこの発信者情報開示制度の対象になるのではなく、その投稿が自分への権利侵害であるといえなければなりません。

   そして、この権利侵害であるかどうかというのは、通常、その投稿が名誉毀損にあたるかという基準によって判断されることになります。

  

   名誉毀損とは、①公然と、②事実を摘示して、③人の名誉を毀損することをいいます。

   ここでポイントになるのは「事実の摘示」という基準です。 

   

   誹謗中傷といわれる投稿には、人の事実に関するもの(例えば、「○○は犯罪者だ」、「○○は不倫している」など)もあれば、単なる人の評価や批判にあたるもの(例えば、「○○はアホだ」、「○○はブスだ」など)も含まれていますが、このような名誉毀損の基準からいえば、単なる人の評価や批判については名誉毀損に当たらないことになります。

  

  そのため、まず問題となっている投稿が事実に関するものであるのかを吟味する必要があります。(もちろん、人の評価や批判すぎないものであっても、度を超えたものになれば人の名誉感情を傷つけるものとして権利侵害に当たる場合もあります。)

 

 

③ 時間制限について

   発信者情報開示命令が認められるとしても、サーバの管理者が保管している情報でなければ開示を求めることができません。

 

   管理者は過去の全ての投稿の情報を保管しているわけではなく、通常は一定期間を過ぎたログについては自動的に抹消されていきます。そうなれば、もはや投稿者を特定することは不可能です。情報の保存期間は各管理者によって様々ですが、プロバイダが保有するIPアドレスなどの情報については保存期間が3か月という短い期間になっているケースもあります。

   また、投稿者がその投稿を削除してしまう可能性もあります。

   

   そのため、誹謗中傷がなされた場合には、直ちに証拠を保存するとともに、速やかに法的な手続に着手する必要があるのです。

   

  

 

 以上の注意点を踏まえた上で発信者情報開示制度を利用し、相手方を特定することができれば、相手に対して民事上、刑事上の責任追及を検討していくことになります。 

 

 また、発信者情報開示については、令和4年10月から改正法が施行されたことにより、新たな裁判手続が設けられたことで、より利用のしやすいものになりました。

 

 

 悪質な投稿者に対してどのような措置をとるべきなのか。それは投稿の内容やかけられるコスト(期間、費用)などの事情によっても変わってきます。

 

 

 ネット上の誹謗中傷でお困りな方は、どのような措置をとることができ、それにはどの程度の費用がかかるのか、一度専門家にご相談されることをおすすめ致します。



弁護士 藤掛 昂平
ko.fujikake@gmail.com
神戸湊川法律事務所
〒650-0015
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