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旧借地法と借地借家法の違い
2024-01-05
カテゴリ:Q&A

Q 先日、私はある土地を父から相続して所有することになったのですが、その土地は昭和63年から人に貸されており、その借地人が自宅建てて居住しています。契約の期間は30年とされているようですが、私としては、今すぐではなくとも、将来的にその土地をもっと利益が出るようなことに活用したいと考えています。そんな中、ずいぶん前に借地法が改正されて、法律上の借地期間が短縮されたと聞きましたが、私の土地にも新しい借地法が適用されるのでしょうか。

 

A 

1 借地借家法への改正で変わった点は存続期間!

建物所有を目的とした土地の賃貸借関係、借地権設定について定めていた借地法は、平成4年(1992年)に新法である借地借家法に改正され、平成4年8月1日より、これが適用されることになりました。

 

旧借地法と新法の借地借家法、いずれも借地人の保護を図るという点で規制の枠組みに大きな違いはありませんが、変わった点の一つとして挙げられるのは、借地期間です。

 

旧借地法では、借地の期間として、コンクリート造等の堅固建物の場合は最低30年、木造等の非堅固建物は最低20年という期間が定められ、さらに更新後の期間についても同じ期間が定められていました。

 

旧借地法においては、このように借地期間が相当に長期となることが想定されており、一度貸したらもう返ってこないなどと言われるほどに賃借人が厚く保護されたものとなっていました。

 

対して、新法である借地借家法における借地期間は、建物の構造にかかわることなく一律で最低30年とされており、更新後の期間については、最初の更新が20年間、2回目の更新からは10年間とされ、更新後の借地期間が短縮されています(契約書に別段の定めがある場合はそれが優先されます。)。

 

そのため、土地のオーナーとしては、存続期間の点では、新法である借地借家法の方が有利であり、改正によってオーナーとしては、より土地を返してもらいやすくなったといえます。

 

2 旧借地法は今でも生きている!

 

それでは、30年以上も前に改正された借地借家法ですが、現在存続している借地契約には全て新法である借地借家法が適用されると考えてよいのでしょうか。

 

答えはノーです。

 

上でも申し上げましたが、借地借家法は平成4年8月1日に施行された法律になるので、平成4年7月31日以前に締結された借地契約については、依然として旧借地法が適用されます。

 

今回は昭和63年に借地が開始されたということですから、旧借地法が適用されることになります。

そうすると、平成30年に契約の満期を迎えることになり、この時点で更新拒絶等の措置をとっていないのであれば、さらに契約期間30年間として借地契約が更新されていることになります。

 

 

3 借地法から借地借家法への切り替えはできる?

 

それでは、現在継続している借地契約について、旧借地法から借地借家法が適用されるように切り替えをすることはできるのでしょうか。

 

これについては借地人の同意があったとしても原則として切り替えはできないと考えられています。

 

借地人と更新の際に新法が適用されるとの特約を入れた書面を交わすということがなされることがありますが、一般的にはこのような合意をしても無効であると考えられています。

 

そのため、原則として旧法で継続している借地契約の途中から新法適用に切り替えをすることはできません。

 

どうしても切り替えをするということであれば、現在の契約を借地人との合意解除によって一旦終了させ、新たな契約を締結するという方法が考えられます。この場合、新しい契約を締結すれば、新法が適用されることになりますので、実質的に切り替えができることになります。

 

 

ただし、このような方法で新たに契約を締結したとしても、契約を締結した事情背景等から、新たな契約も実質的には過去の契約が継続しているだけであるとされ、無効と判断される可能性はあるでしょう。

 

新たな契約を締結するとしても、新法に切り替えたいという理由以外で、新たな契約の締結を必要とする事情を説明できる必要があります。

 

いずれにせよ、オーナーからの一方的な通告によって、旧法から新法へ切り替えるようなことはできません。 

    

 

改正から30年が経過する借地借家法ですが、現在は旧借地法が適用される借地契約が混在している状況です。旧借地法と借地借家法の規制の違いには注意が必要です




 弁護士 藤掛 昂平
 ko.fujikake@gmail.com
 

 

神戸湊川法律事務所
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