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オンライン旅行予約の際の注意点
2024-11-05
カテゴリ:Q&A
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Q インターネットでホテル宿泊を予約しました。出発日まで1ヶ月以上ありますが、事情によりキャンセルが必要になり、旅行サイトのホームページ記載の連絡先にメールを送っても返信がありません。仕方がないのでホテルに直接連絡してキャンセルしましたが、既にクレジットで支払った利用料金は、旅行サイトと交渉するようにと言われました。国内ホテルの予約ですが、利用したのが海外事業者が運営する旅行サイトだったみたいです。今後、問題なく返金なされるでしょうか。
A インターネットを通じた旅行(交通・宿泊)予約は、手軽で自身で比較もできることから、多く利用されています。しかし、キャンセルや予約の変更が必要になった場合、スムーズに対応できなかったり、直前でなくともキャンセル料が100%かかるようなケースもあり、予約成立の前段階で、どのような条件となっているか十分確認する必要があります。
日本の旅行業者は、旅行業法に基づき、登録が義務づけられ、旅行業者が企画した旅行は、インターネット上の予約であっても、旅行業法に基づいたキャンセル規定や変更対応がなされます。しかし、インターネット上には、国内旅行業者の企画旅行を販売しているサイト以外に、様々な旅行予約サイトがあります。大きく分けると、以下の5つに分類されます。
①交通機関や宿泊業者の公式ホームページ
公式ホームページからの予約の場合、旅行業者を介していないため、旅行業法は適用されません。従って、例えば、「格安プラン・キャンセル変更不可」となっている航空券を予約した場合、キャンセルや変更が必要となっても、規定の料金を支払う義務があります。
②国内のオンライン旅行取引事業者(国内OTA)が運営するサイト
旅行業法に基づき運営されていますし、トラブルが生じた際の対応窓口も利用しやすいといえます。但し、旅行会社が企画した旅行(在庫を旅行会社が確保している)だけでなく、④の場貸しサイトの商品が混在している場合もあるので、注意が必要です。
③海外のオンライン旅行取引事業者(海外OTA)が運営するサイト
海外に会社拠点がある場合、日本のCMで多く見かけても、日本に事業拠点がなく、旅行業法の適用を受けないばかりか、準拠法が外国法となっていることも多いのが実情です。従って、基本的には、予約成立時点の契約内容に拘束されるため、「キャンセル料100%」との条件が事前提示されていれば、契約翌日のキャンセルでも料金全額を請求されることになります。また、トラブル受付窓口が会社拠点に集約されている場合、時差や日本語能力の問題で、スムーズに案内が受けられないリスクもあります。
④場貸しサイト
交通機関や宿泊業者、旅行業者に、旅行商品を紹介・申込誘引する場を提供する場としてホームページを運営しているサイトのことを言います。実際の予約(契約)はホームページ運営会社ではなく、サイトに掲載している交通機関・宿泊業者・旅行業者と行いますので、内容によっては旅行業法は適用されません。
旅行会社大手のサイトでも、自社の企画旅行だけでなく、場貸しサイトとして掲載している旅行商品もありますので、契約先を十分注意する必要があります。
⑤メタサーチ
①~④のサイトに掲載された商品情報を一覧できるようにして、旅行商品の内容や価格を比較しやすく見せる、いわゆる比較サイトとなります。契約手続を進める時点で、メタサーチサイトから、①~④のサイトに移動し、実際に旅行商品を提供している業者との契約となります。
インターネット上の旅行予約は、実際にどの業者と契約しているのか、よく把握できないまま手続を進めてしまうことが多いです。また、消費者の感覚では、サービスの一環としてキャンセルや予約変更に応じてくれそうと期待してしまいますが、契約時の条件に従うことが消費者にも義務づけられます。最近は、交通機関と宿泊先を一度に予約できるサイトも多いですが、場貸しサイトで契約した場合、別々の契約であり、条件も異なります。1つはキャンセルできたが、もう1つはキャンセル不可であるという可能性もあります。キャンセル費がいつからかかるか等、契約の条件を十分確認してから、契約するようにしましょう。
Qのケースは、ホテルの回答を踏まえると、ホテルではなくOTA事業者が契約相手となります。海外OTAを通じた予約であり、旅行業法の適用はなく、契約時点のキャンセル規定が適用されます。よって、キャンセル規定に基づいた返金請求は可能ですが、規定内容によっては、宿泊日の1ヶ月以上前でもキャンセル料が100%かかることがあり得ます。
弁護士 浦本真希 uramoto@fujikake.lawyers-office.jp