記事一覧
Q 私はとあるメーカーに正社員として勤めていますが、来年春に小学生になる息子がいます。今年の法改正で、入学式については有給を取らなくても出席できるようになったと聞いたのですが本当なのでしょうか?法改正について教えてください。
A 2025年5月から施行される法改正により、いわゆる「看護休暇(子の看護等休暇)」の対象や用途が拡充され、こどもの入学式や卒園式などにもこの制度を使えるようになりました。有給休暇を使わずに取得できる法定休暇として注目されています。
○ 背景と目的
今回の改正は、子育てと仕事の両立を支援するために育児・介護休業法が見直されたものです。とくに、保育園から小学校へ進学する際に「小1の壁」と呼ばれる問題があるように、小学校入学後も親の関わりが求められる場面は多くあります。そのニーズに応える形で、看護休暇の対象年齢や取得理由が拡大されました。
○ 何が変わったの?
法改正により、「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」と名称が変更され、次のような点が改正されました。
・ 対象となる子の年齢が拡大
これまでは「小学校就学前まで」だったところ、「小学校第3学年を終了するまで」に変更されました。
・取得理由が拡大
新たに「感染症による学級閉鎖等」「入園式・入学式・卒園式への出席」なども取得理由として認められるようになりました。
・勤続要件の緩和
これまで労使協定によって除外できた「勤続6か月未満の労働者」も、原則すべての労働者が対象になりました(一部例外あり)。
これらの内容は、育児・介護休業法第16条の2で次のように定められています。
「小学校第3学年の終期に達するまでの子を養育する労働者が、負傷、疾病その他の事由により、その子の世話をするために申し出た場合において、...必要と認められる休暇(以下『子の看護等休暇』という。)を取得することができるものとする。」
ここでいう「その他の事由」には、厚生労働省令により感染症のまん延に伴う学級閉鎖、学校行事(入学式等)が含まれることが明記されました。
○ 給料は発生する?
この休暇について一番関心が集まるポイントとしては、結局この休暇に給与が発生するのか?というところかと思いますが、残念ながらこの看護等休暇は法律上、無給とされています。つまり、取得しても会社の給与の支払い義務はありません。この点から、結局従業員としては休みづらいのではないかという意見も出ているようです。
ただし、会社によっては就業規則で有給扱いにしているところもあるようですので、ご自身の会社の就業規則を確認してください。
○ 何日使用できる?
年に5日(子どもが2人以上なら10日)まで取得可能です。しかも、1時間単位での取得も可能なので、たとえば入学式だけ出席して午後から出社するような使い方もできます。
■ まとめ
2025年5月の改正により、こどもが小学校低学年であれば、入学式・卒園式などに看護休暇を使えるようになりました。会社の有給休暇を使わずに取得できる法定休暇ですので、制度を正しく理解して、必要なときにためらわず活用しましょう。