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ロードサービストラブルへの対応
2025-07-04
カテゴリ:Q&A
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Q 外出先のコインパーキングで自動車のバッテリーが上がってしまった。駐車料金もかかるので、スマホでロードサービス業者を検索し、検索画面の一番上に表示されていた広告が、「基本料金3,000円~、24時間迅速対応」とあったので、連絡して来てもらった。車を見てもらうと、「高圧電圧で作業する必要があるので、3万円かかる。夜間特別作業で30%増の請求となる。」と言われ、39,000円を請求された。広告記載の金額とかけ離れているし、電話で依頼したときに夜間割増の説明は受けなかったので、金額に納得できなかったが、修理してもらえないと困るので、やむなく支払った。不当に高額に思うので、何らかの返金を要請できないか。

A 相談事例は、ロードサービストラブルと呼ばれるもので、2022年から全国の消費生活センターで急に相談が増えています。2025年3月には、消費者庁が消費者安全法の規定に基づき、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示)を行っていたとして、ロードサービス業者二者の概要および具体的事例を公表しました。
 現代では、何か困ったことが生じた際に、スマートフォンで検索することが一般的になっています。インターネットの検索結果で上位に示されるサイトは、目につきやすいだけでなく、信頼性が高そう、多くの人が利用していそう、という印象を持ちがちです。ですが、リスティング広告といって、業者が検索サイトに広告費用を支払い、検索時に検索結果の上位にスポンサーとして広告表示される仕組みを利用しているケースも多く見られますので注意が必要です。
 消費者が、店舗等の営業所以外の場所で契約の申込みを受け、または契約を締結したサービス提供行為は、特定商取引法上の「訪問販売」に該当します。訪問販売は、業者との契約を意図していない時に不意打ち的な勧誘を受けたり、自宅のような他人の目に触れない場所での勧誘態様が強引・攻撃的になる恐れがあるという事情から、消費者の契約意思が熟さない時点で即決を迫られトラブルに発展しやすい取引類型として、勧誘態様の規制やクーリングオフといった契約解消手段の規定が設けられています。
 本件でも、コインパーキングで契約していますので、訪問販売に該当します。よって、法律上は、業者から契約書面(特定商取引法で規定された事項が記載された書面)を交付されたときから8日以内であれば、クーリングオフにより契約の解消及び返金を要請することが可能です。但し、実際は、現金で支払ってしまった場合、業者が返金に応じてこないケースもあり、回収の困難性が指摘されています。クレジットカード決済をした場合は、カード会社にもクーリンオフの主張を対抗できます。
 なお、この不意打ち性が解消されうるという理由で、消費者が、自宅に業者を呼んで契約した場合は、クーリングオフやその他契約取消規定が適用されません(「来訪要請」といいます。特定商取引法26条6項1号)。これは、消費者の自宅での契約に限定していますので、今回の質問のような駐車場、路上でのロードサービス契約には当てはまりません。自宅車庫でのトラブルでロードサービス業者に連絡し、契約した場合でも、ウェブサイトの広告内容や電話連絡時の説明では想定し得ないような作業内容や金額を、来訪後に提示され契約した場合は、やはり訪問販売の不意打ち性が存在します。よって、来訪を要請した段階(広告を見て電話したり、ネットフォームに入力した段階)で、実際のサービス内容や支払額について認識しており、その認識の範囲内での契約を締結したといえる事情がない限り、この来訪要請による訪問販売の適用除外には該当しないと考えるべきです。
  
弁護士 浦本真希  uramoto@fujikake.lawyers-office.jp



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