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下請法が「取適法」に改正されます
2026-01-08
カテゴリ:Q&A
Q 今年の1月から下請法が改正になると聞きました。改正によってどんな風にルールが変わるのでしょうか?注意しておくべき点はあるでしょうか?
A
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、経済的に優位な親事業者から、中小の下請事業者への不当な扱いを防止することを目的に、代金の支払い遅延、減額、受領拒否や返品を禁止すること等を定めた法律です。
今年1月より、この下請法は取適法(中小受託取引適正化法)に名前を変え、新たに施行されます。
この改正によって規制内容がどのように変わったのかを見ていきます。
1 これまでの下請法の概要
下請法は次のような事業者を対象に、下請事業者との取引において、特定の行為を義務づけたり、禁止行為を定めていました。
○規制対象企業の基準は「資本金の額」のみ
従来は、例えば、資本金3億円以上の企業が3億円以下の企業に委託する場合など、資本金の金額に着目した規制
○適用業務
製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託
○規制内容は契約時の義務付けや禁止事項
義務事項:発注内容の書面交付、支払期限の設定 等
禁止事項:代金の支払い遅延、不当な減額、返品、買いたたき、発注後の内容変更 等
2 重要な改正点
下請法が取適法に名前を変えたからといって、下請事業者との取引におけるルールを定めるという下請法の規制の大枠を変更するものではありません。今回の改正で、特に企業が注意すべき実務上の変更点は以下の4つです。
① 適用範囲の拡大(従業員数基準の導入)
これまでは「資本金」だけで判定していましたが、新たに「従業員数」が基準に加わりました。具体的には、資本金に関係なく、従業員300名以 上の事業者が300名以下の事業者に委託する場合が含まれることになります。
② 一方的代金決定の禁止
委託事業者の禁止事項として、協議に応じない一方的な代金決定が新たに追加されます。受託側から価格交渉の申し出があった場合、委託側は誠実に協議に応じなければなりません。
③ 手形払いの廃止
長年の商習慣だった「紙の手形」による支払いが事実上、禁止されました。
④ 多少取引の拡大
適用対象となる取引に、製造等の目的物の引き渡しに必要な運送の委託が追加されます。
例)家電メーカーから小売業者に売却された家電商品の運送を、運送会社が委託されるケース
3 まとめ
2026年1月からの新制度は、下請法の規制構造自体を変更するものではありませんが、規制対象となる企業や、禁止行為が追加されるという点で、日常業務において、外部企業への業務委託を利用することが多い企業にとっては、注意が必要です。改正に気づかず、知らず知らずのうちに取適法に違反していたとなれば、企業としてコンプライアンス違反の責任を問われる事態となり、企業に対する信用にも重大な影響を与えかねません。
企業としては今一度、取適法の規制対象となる取引がないのかを再確認するべきと思われます。
取適法に関する委託・受託事業者とのトラブルや、取適法の規制についてお困り事があれば遠慮なく弊所に相談してください。
弁護士 藤掛 昂平
ko.fujikake@gmail.com
