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養育費の支払い確保に向けた法改正
2026-07-03
カテゴリ:Q&A
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Q 共同親権が開始となったタイミングで、養育費についても新しい制度が開始されたと聞きました。どのような制度でしょうか。
A 2026年4月1日から施行されている民法やその他の法改正で、養育費について大きな改正点があります。
1.法定養育費の新設
これまでは、父母の協議や家庭裁判所の手続(調停、審判、訴訟等)で養育費の金額が決まっていなければ、養育費を請求することができませんでした。今回の法改正により、2026年4月1日以降に離婚した夫婦に未成年の子がいる場合、養育費の取り決めがなくても、離婚の時から引き続き子を主に監護している親は、他の一方の親に対して、法令で定められた金額(子1人あたり月額2万円)を請求できる制度(法定養育費制度)が新設されました。支払義務を負う父母(以下、「義務者」といいます)は、離婚の日以降、毎月末を期限として、法定養育費を支払う義務を負いますが、支払能力を欠くことや法定養育費を支払うと生活が著しく窮迫することを証明した場合は、法定養育費の全部もしくは一部の支払を拒むことができます。
法定養育費は、父母の協議もしくは裁判手続を経て養育費が決定されるまでの暫定的なものと位置づけられており、当該家族の実情をふまえた適正な額の養育費取り決めをすることが要請されます。また、子が成人に達するまでの請求権となります。
2.差押え可能な養育費が拡大
これまでの民法では、養育費未払の場合に義務者の財産に差押えを行うには、債務名義という公の文書が必要でした。具体的には、家庭裁判所の手続により養育費を定めていたり、公正証書により差押えがなされうることを義務者が了承している場合に限られていました。
改正民法で、「子の監護の費用」に先取特権という権利が認められ、子1人あたり月額8万円を上限として、債務名義がなくても、父母が支払合意した旨が認められれば、差押えが可能になりました。2026年4月1日以前に離婚した父母であっても、同日以降に生ずる養育費については、この差押えを行うことが可能です。
また、1.の法定養育費についても差押えが可能になっています。
3.義務者の収入把握等、裁判手続の利便性向上
家庭裁判所の手続では、父母双方の収入をふまえ養育費を決定するため、源泉徴収票や確定申告書等の収入を示す資料の提出が求められます。しかし、提出を拒む当事者もいるため、家事事件手続法の改正により、2026年4月1日以降、家庭裁判所は、必要があると認める時は、当事者に対して収入及び資産の状況に関する情報を開示するよう命令できることになりました。命令に反すると10万円以下の過料を科すことで、実効性を担保しています。この開示命令は、養育費だけでなく、離婚前の生活費分担(婚姻費用)請求、財産分与に関しても適用できます。
また、差押えを行いたくても義務者の口座や勤務先(給与支払者)の情報が分からないという場合、財産開示手続という義務者の財産に関する情報を取得するための裁判手続がありますが、この手続で財産に関する情報が判明しても、債権回収のために別途差押えの申立を行う必要がありました。今般の法改正で、地方裁判所に対する1回の申立で、財産開示手続、市区町村への情報提供命令、債権差押命令という一連の手続を申請でき、財産開示手続の中で、給与支払先が判明すれば、給与の差押命令の発令まで行えるようになりました。
以上のように、養育費の支払い確保に向けた様々な制度が2026年4月1日から実施可能となっています。まだ開始されたばかりの制度ですので、ご自身のケースでどのような対応が最適かは、弁護士にご相談することをお勧めいたします。
弁護士 浦本真希 uramoto@fujikake.lawyers-office.jp
