本文へ移動

よくある質問

記事一覧

18歳から成年になります
2021-08-11
Q.来年、長男が18歳になります。ニュースで成年年齢が18歳に引き下げられると聞きましたが、成年年齢が引き下げられることでどのような影響がありますか。



A.現在、20歳をもって成年とする(民法4条)とされていますが、令和4年4月1日に成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」が施行され、同日時点で18歳以上20未満の方は、同日をもって成年に達することとなります。

これは、近時、選挙権年齢を18歳に引き下げるなどの政策が進められたことをきっかけとなり、市民生活一般に関わる民法においても、18歳以上の人の自己決定権を尊重し、大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がなされるようになったことによるものです。
18歳を成年とすることは世界の主流に合致するものです。

未成年は親の同意を得なければ例えば契約等の法律行為を行うことはできず(民法5条1項)、親の同意のない法律行為は取り消しうるとされていましたが(同条2項)、成年年齢が引き下げられることにより、令和4年4月1日をもって、18歳や19歳の方は、親の同意を得ることなく、一人暮らしの賃貸借契約を締結したり、ローンを組んで自動車を購入することができるようになります。

また、父母は、未成年者の親権者として、未成年者の監護及び教育をする義務を負いますが(民法818条1項、820条)、成年年齢が引き下げられることにより、18歳に達した者は父母の親権に服さなくなります。

一方、成年年齢が18歳に引き下げられて、法律上成年と扱われたとしても、お酒やたばこに関する年齢制限は、20歳のままとなります。また、公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇等)に関する年齢制限も、20歳のままとなっています。これらの規制の趣旨である健康被害への懸念やギャンブル依存症対策が、18歳や19歳の方の自己決定権より重視されたものといえます。その意味では、18歳や19歳の自己決定権は、20歳以上の大人と完全に同一のものとまでは考えられていないともいえます。

また、養育費は、子が未成熟で自ら稼働して経済的に自立することができない場合に支払われるものです。現在も、子が大学進学する予定の場合には、「22歳に達した後の3月」とする場合が大半です。そのため、成年年齢が引き下げられたから、当然に、養育費の支払い期間が「18歳に達するまで」となるわけではないと思われます。

子どもがまだ幼い場合には、その子が将来的にどの時点で経済的に自立できるか分からないため、通常子どもが経済的自立を期待される20歳を養育費の支払終期とするケースが多くみられます。成年年齢が引き下げられても、この考えには変更はないといえますので、養育費の支払い終期は20歳や、22歳に達した後初めて迎える3月までと判断される可能性が高いと考えられます。

最後に、成年年齢が引き下げられることで、18歳で成人式を行うのでしょうか。
国としては、特に取り決めはなく、各自治体の判断に委ねるようですが、多くの自治体は従前どおり20歳で成人式を行う予定のようです。18歳で成人式を行うとなれば、3学年同時に成人式を行わなくてはいけなくなることや開催時期によるものの受験シーズンにバッティングする可能性があることが考慮されているようです。ただ、成人年齢の引き下げに伴い、八王子市では、名称を「20歳を祝う会」と変更するようです。

弁護士 上田 貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp
神戸湊川法律事務所
〒650-0015
兵庫県神戸市中央区
多聞通3-3-9 神戸楠公前ビル3階

TEL.078-341-3684

TOPへ戻る