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欠勤や遅刻を繰返す従業員に対する解雇の有効性
2014-07-08
私は、会社を経営しているのですが、従業員の中に無断ではないものの、さしたる理由もなく欠勤や遅刻を繰り返す者がいます。そのような事情を理由に従業員を解雇することができるでしょうか。仮にできるとして、何か注意することはありますか。
労働者が会社に出社して仕事をすることは、当然に雇用契約の内容になっています。
そのため、欠勤をすることは、原則として社員の雇用契約上の債務不履行となるので普通解雇の解雇事由に該当することになります。
しかし、解雇事由に該当するからといって直ちに、従業員を解雇することが許される訳ではありません。なぜなら、我が国の最高裁判例においては解雇権濫用法理が確立しており、その判断基準を法制化した労働契約法16条が存在するからです。
労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」としています。
しかし、解雇事由に該当するからといって直ちに、従業員を解雇することが許される訳ではありません。なぜなら、我が国の最高裁判例においては解雇権濫用法理が確立しており、その判断基準を法制化した労働契約法16条が存在するからです。
労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」としています。
ここで「客観的に合理的な理由を欠き」とは、解雇事由として主張されているが真実であるか、就業規則上の解雇事由に該当するかどうかということが問題となりますが、この要件に関しては欠勤や遅刻が多いことを証明できれば、特に問題となることはないと思います。
これに対して、問題が多いのは、「社会通念上相当であると認められない」という要件です。
これに対して、問題が多いのは、「社会通念上相当であると認められない」という要件です。
この要件については、一概にどのような事実があるから要件に該当するということができず、事案ごとに様々な事情を考慮した上で要件の該当の有無を判断せざるを得ません。
すなわち、過去の裁判例などにおいて休暇を理由とした解雇が有効であった事案においても、何日間の休暇をとったために解雇が有効であったというわけではなく、その解雇に至る過程や休暇によって会社に対して及ぼす影響等、当該事案の様々な事情のもとで解雇が有効であると判断されているのです。
過去の裁判例を検討にすると、欠勤や遅刻を理由とした解雇の有効性を判断する際、具体的には、?勤怠不良〔欠勤や遅刻〕等の回数・程度・期間・態様(やむを得ない理由の有無等)、?職務に及ぼした影響、?使用者からの注意・指導と当該従業員の改善の見込ないし改悛の度合い、?当該従業員の過去の非行歴や勤務成績、?過去の先例の存否等を判断要素とされています。
過去の裁判例を検討にすると、欠勤や遅刻を理由とした解雇の有効性を判断する際、具体的には、?勤怠不良〔欠勤や遅刻〕等の回数・程度・期間・態様(やむを得ない理由の有無等)、?職務に及ぼした影響、?使用者からの注意・指導と当該従業員の改善の見込ないし改悛の度合い、?当該従業員の過去の非行歴や勤務成績、?過去の先例の存否等を判断要素とされています。
中でも、重視されているのは?です。一年間に欠勤72日、遅刻早退99回した従業員に対する解雇の相当性が争われた事案で、裁判所は「勤務状態の不良についてそれまでに会社において何らかの制裁措置をとるなどして警告した事実はなかったことからすると、いきなりの解雇は過酷である」などとして、解雇を無効にしました(東京地判昭和50年9月11日)。
したがって、従業員を解雇する際には、勤務状況が悪くとも、くれぐれも突然解雇を言い渡すことはせず、事前の警告をするようにして下さい。
弁護士 上田 貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp