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よくある質問

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住宅ローン付の自宅を残す個人再生
2022-08-04

Q 複数の金融機関から借り入れをしていますが,毎月の支払がきつく,債務整理をしたいと思っています。しかし,私は数年前にローンで購入した自宅に居住しており,この自宅は手放したくありません。何かよい方法はないでしょうか。

 

 

A 住宅ローンの債務を残したまま,個別の借り入れについて債権者との交渉により債務を減縮する,いわゆる「任意整理」を行うことは可能です。しかし,こうした任意整理では,将来利息や遅延損害金部分の減縮しか認められないケースが多く,また,住宅ローン契約の条項によっては,任意整理によって期限の利益を喪失し一括返済を求められたり,住宅ローンの金利が変更されるというケースもあり,注意が必要です。

 

 こういったケースでは,住宅ローン特則を利用した個人再生を利用できる場合があります。自己の財産を清算して債務をゼロにする破産手続とは異なり,個人再生手続は,自身の借り入れを減縮し,3年~5年の期間で分割返済をする手続です。任意整理とは異なり,条件を満たせば債務の大幅な減縮が認められる点に特徴があります。

 そして,住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用した個人再生では,住宅ローンは通常どおり返済,もしくはリスケをして,その他の債務を減縮し,支払っていくことが可能です。住宅を手放すことなく,借り入れを減縮することができる点に大きなメリットがあります。

 

ただし,住宅ローン特約付の個人再生においては,いくつか注意点があります。

 

①建物の名義が債務者である必要がある

 なお,夫婦でペアローンを組んでいる場合は注意が必要です。

 この場合は,夫婦両方で個人再生を申し立てるといった状態でなければ認められない可能性があります。

 

②「住宅」として利用していなければならない。

 主として事業用に利用している建物のローンについては適用できません。

 厳密にいうと,ローンが付着した建物が,床面積の半分以上を住居として利用するものでなければなりません。

 

③「住宅ローン」の債務でなければならない。

 ローンの債務が住宅の建設,購入に必要な資金として借り入れをしたものでなければなりません。

 

④住宅の価値よりローン残高の方が高くなければならない

 自宅の評価額が高く,残ローンを上回っている場合,基本的には住宅ローン特則を利用することができません(例外はあります)。

 

⑤自宅に住宅ローン以外の抵当権が付いている場合は利用できない

 自身が事業を営んでいるケース等,自宅に住宅ローン以外の借り入れについて抵当権が設定されている場合には,住宅ローン特則を利用することはできません。

 

上記の他にも,個人再生の要件を満たさなければならない等,住宅ローン特則を利用する際に満たさなければならない条件はあります。

自宅を手放すことなく債務整理をしたいという希望がある方は,ご自身のケースで,この住宅ローン特則付の個人再生を利用することができるかどうか,是非弁護士にご相談ください。



弁護士 藤掛 昂平 ko.fujikake@gmail.com 
神戸湊川法律事務所
〒650-0015
兵庫県神戸市中央区
多聞通3-3-9 神戸楠公前ビル3階

TEL.078-341-3684

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