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よくある質問

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クーリングオフの方法が変わります
2022-07-05
カテゴリ:Q&A

Q クーリング・オフの方法が変更されたと聞きました。どのように変わったのですか。ほかにも変更点はありますか。

 

A 2022年6月1日から、特定商取引に関する法律(特商法)の改正により、これまで書面での権利行使しか認められていなかったクーリング・オフがメール送付等の電磁的方法によることが可能となりました。

 また、同じく特商法の改正により、通信販売では、注文時の最終画面や申込書面に、分量、販売価格、支払の時期や方法、引渡し時期、申込みの撤回や解除に関する事項、申込期間をわかりやすく明示することが義務づけられました。特に昨今被害事例が多発していた、「定期購入契約」については、2回目以降の代金や、支払時期、引渡し時期も明記する必要があります。また、定期購入である旨や申込みの撤回や解除に関する表示が誤認を招くような表示は禁止され、そのような表示により誤認して締結した契約は取り消すことが可能となりました。

 クーリング・オフとは、訪問販売や電話勧誘販売といった一定の取引方法により成立した契約を、一定の期間内(訪問販売であれば、法定書面の交付を受けた日から8日間)であれば、消費者は解約できるという制度です。一旦成立した契約は、相手方の債務不履行等、解約事由が存在しないと解約できないというのが原則ですが、クーリング・オフは、権利行使可能期間であれば、消費者が自由に解約を選択できます。

 これまでは、事業者に対して、書面にてクーリング・オフを行使する旨を通知する必要がありました。書面での権利行使は、郵便を利用しますので、到着までに時間がかかりますし、事業者に届いた時期を把握するには、内容証明郵便を利用する等、若干の費用がかかります。電磁的方法による権利行使も可能になったことで、これらのデメリットは解消されることになりました。

 電磁的方法として代表的な方法は、電子メールと、事業者がホームページなどに設けるクーリング・オフ専用フォームへの連絡が考えられています。事業者側は、例えば、ホームページに、「クーリング・オフの際には、こちらの専用フォームに必要事項を記載の上、送信して下さい。」と案内して、具体的なクーリング・オフ行使方法を指定することは可能です。このような指定があっても、郵送など他の方法による権利行使が禁止になるわけではありません。

 事業者は、契約時に交付する法定書面に、クーリング・オフが書面または電磁的方法にて可能である旨の説明を明記する必要があります。

 「定期購入トラブル」とは、「お試し価格●円!」「初回限定特別価格!」等、安価な単発契約であるかのように宣伝するも、実際には2回以上の継続的契約が必須となっており、2回目以降は通常価格を支払わねばならなかった、初回契約のみで解約しようとすると、2回目以降の価格を反映した追加支払を求められたというようなトラブルです。「定期購入トラブル」の増加により、上記のとおり契約最終確認時の契約内容の明示及び広告における不実や誤解を招く表現の禁止が盛り込まれました。

 契約内容の明示は、申込書面等に法定事項を漏れなくわかりやすく記載することが困難である場合は、消費者が明確に認識できる方法であれば、広告の該当箇所の頁を引用して記載に代えることも可能とされています。例えば、初回限定価格を大きく目立つように記載し、定期購入となり2回目以降は通常価格の支払いが必要であることを小さく記載するなど、表示内容全体から消費者に誤認を生ぜしめる表現になっていると評価された場合は、特商法違反に該当するとして行政処分の対象になったり、契約取消を主張される可能性があります。通信販売を行う事業者は、速やかに、今回の法改正に対応した広告及び最終確認時の画面や申込書面を準備せねばなりません。


弁護士 浦 本 真 希  uramoto@fujikake.lawyers-office.jp
神戸湊川法律事務所
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